夜、窓を締めても電車の音がうるさくて眠れない

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「住めば都」という。どんな環境でも、住み続けているとそこが居心地よくなってくるものだということだ。私は最近引っ越したばかりなのだけど、毎日のように「住めば都」を唱え続けている。それは何故かと言うと、今の状況が私にとって「都」ではないからに他ならない。正直に白状するならば、どうしてこんな場所を選んでしまったのだろうというところだ。間近に響く電車の音を聞きながら、私は今猛烈に後悔している。

一人暮らしをしようと決めたのは、大学に入学する直前だった。それまでは自宅から通うと決めていたのだが、シングルマザーとして私を育ててくれた母が突然再婚することになり、今まで住んでいた家には住めなくなったため、急きょ大学の近くにアパートを借りることになった。入学前の慌ただしい時期に急いで決めてしまったこともあり、アパートの側に線路があったことは少し気になったけれど、昼間内覧に行ったときには周囲の喧騒に電車の音が紛れていたので、まあ大丈夫だろうと安易な気持ちで決めてしまったのだった。

このアパートに住むまでは、私はどこでもどんな環境でも寝れる人間だと思っていたし、そんなに神経質な人間だとも思っていなかった。だけど母親とも離れることになり、私も少し寂しかったのかもしれない。夜、窓を締めても電車の音がうるさくて眠れないのだ。しかも内覧に来たときには気づかなかったけれど、電車が通るたびにアパートが少し揺れるのだ。パイプベッドを購入したので、余計に振動が伝わり、せっかくうとうとできても特急電車がものすごい勢いでアパートの横を通過すると、びっくりして目が覚めてしまう。真夜中、電車が無くなると、ようやく眠りにつける。だけど数時間もすれば始発が通るので、その音ですぐに目が覚めてしまうのだ。

体が慣れるのが早いか、ギブアップするのが早いか。だけどやはり不動産屋の前を通ると、ついつい物件を探してしまう毎日である。